音を楽しもう◎中兵庫の音楽人紹介

兵庫県の真ん中から、音楽人の情報を発信します。

個性派メンバーが奏でる一体感あるメタル◎Sweet Temptation

こんにちは。中兵庫音楽人発信委員会ライターのあんこです。前回の特集からしばらく間があいてしまい、さらに年が明けてからすでに2か月が経ってしまいました…本当にお待たせしてごめんなさい!今年も引き続きどうぞよろしくお願いします。
さて、2020年最初に紹介する音楽人は「Sweet Temptation(スイートテンプテーション)」のみなさん。オジサマ2人と女子2人の、なんと年の差約30歳のメタルバンドです。メタルには疎い私ですが、メンバー一人ひとりがとても魅力的で、それぞれの人柄にぐっとフォーカスした記事に仕上がりました。今回も楽しんでいただければうれしいです。

キーパーソンのドラム×救世主のボーカル×確かな腕のギターとベース=「すいてん」

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メタルバンド「Sweet Temptation」


──さっそくですが…若い女の子とオジサマのこの図、なんだかほほえましいですね(笑) ギターのmaaakun(まーくん)さんとドラムのyu-na(ゆーな)さんは親子だと聞いています。年の差も含めて「すいてん」の魅力に迫ってみたいと思いますが、まずはバンド結成のいきさつと、メタルってどんな音楽なのかを教えてください。


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右から、ギターでリーダーのmaaakunさん、ドラムのyu-naさん、ベースのズッキーさん。


maaakun 娘のyu-naをドラマーとして育てたいというところから始まりました。メタルバンドのドラムは、ギターやベースに比べてプレイヤー人口がいちばん少ないパートなんですよ。そもそもメタルは重くて暗い雰囲気で、速さも求められるので。ぼく自身は以前は姫路で別のメタルバンドをしてたんです。ベースが辞めたのをきっかけにズッキーさんが加入してくれたんですが、地元(小野)を拠点にしたいと思ってズッキーさんを誘って「すいてん」を立ち上げました。ただ、ボーカルがなかなか決まらず、加入してもすぐに脱退っていうのを繰り返してて。今年(取材時は2019年12月)の夏にやっとようちゃんの加入で現メンバーになりました。

──maaakunさんとズッキーさんは以前から一緒にバンド活動をされていたんですね。ボーカルのようさんは、大阪在住ということもあり残念ながら今日は来ていただくことがかないませんでしたが、個別にお話をお聞きしているので、みなさんのお話の間にちょこちょこ紹介していきますね。yu-naさんありきで立ち上げたバンドということですが、yu-naさんはお父さんの影響でメタルにはなじみがあったの?

yu-na 特に好きではなかったんですが、中学時代、吹奏楽部でパーカッションをやっていてドラムは好きだったので、maaakunに誘われて軽い気持ちでバンドを始めました。

──そうなんですね。半ばお父さんに引きずり込まれたという感じですね(笑) 吹奏楽部のお話、あとでお聞きしたいと思います。maaakunさん、ズッキーさん、おふたりはそれぞれ楽器歴は?

maaakun ギターは13歳ぐらいからはじめましたね。オジー・オズボーン(元「ブラック・サバス」のボーカリスト)のバンドのギタリストだったランディ・ローズの曲でギターソロに目覚めました。それからずっとメタル一筋ですね。社会人になってからはブランクがあったけど、仕事をしながら神戸や加古川などで弾いてました。

──メタル一筋ですか!ブランクがありながらも10代から楽器を続けられるっていうのはステキですね。

ズッキー ぼくも14ぐらいからですね。最初はギターを弾いてたんですが、バンドを組むときにベースがいなくてベースをはじめたんです。学生時代は吹奏楽でサックスやパーカッションもやってたんですよ。結婚して兵庫に来るまでは横浜にいたんですが、ストリートで朝までギター弾き語りなんてこともありましたね(笑) ずっとロックをやってきましたが、兵庫に来てmaaakunに出会って、今こうやってメタルをやってます。

──ズッキーさんもmaaakunさんに導かれてメタルの世界に入ったということですね。それにしても、朝まで弾き語りとは!なかなかできることじゃないですよね(笑) そもそも、大都会の横浜からなんでまた兵庫のこんな(?)ところに?

ズッキー 嫁がこっちの人だったんです。ぼく関西にちょっとあこがれがあって。関西弁ってなんかいいじゃないですか。で、ついていきますって言ってこっちに。でもね、当初は大阪の道頓堀のような風景を期待してたんですが、なんか全然違う風景でどんどん山の中に入っていっちゃって。

──気づいたらこんな田舎に(笑)

ズッキー そうそう(笑)

──さきほど、ボーカルがなかなか見つからなかったというお話が出ましたが、ボーカルがいないとそもそも活動ができないですよね?

maaakun 興味を持って来てくれる人はいたんですが、続かなくて脱退してしまうってことが多かったんですよ。メタルはデスボイスやシャウトなど独特の歌い方だし、声量もいる。だから難しいんでしょうね。そんなときにようちゃんが入ってくれたんです。バンド自体は初めてだったそうですが、メタル好きで。あと、yu-naは自分からしゃべりかけたりしないんですが、ようちゃんはよくしゃべってくれて、気が合うみたいで。それも含めてまさに救世主ですね。

yu-na すごくフレンドリーで、ようちゃんが入ってくれてからバンドが楽しくなりました。

──ようさんが加入されて、やっと「すいてん」が本格始動したわけですね。ようさんにyu-naさんの印象をお聞きすると、「ロリドラム、尊い!」とのことでしたよ(笑) 一緒に活動していくとなると、やっぱりメンバー同士の相性なども大事になってきますよね。はじめにおっしゃったように、メタルは重くて暗い雰囲気だから特に、ボーカルも楽器も世界観を作るのが難しいんじゃないかと思います。演奏曲は、コピー、オリジナル問わずですか?

maaakun どっちもやりますね。イベントではコピーが多いかな。直近のライブでは「BABYMETAL(ベビーメタル)」をやりました。

──すみません、私、「BABYMETAL」をよく知らなくて…。どんなバンドなんですか?

maaakun 女性3人組のメタルダンスユニットで、ライブの時にバックで「神バンド」と呼ばれるハイクオリティのバンドが演奏してるんです。イベントの時は彼らを真似て白装束で演奏しました(笑) 海外でも人気が高くて全米でオリコンチャートに入ったりしてますね。

──そうなんですね。ハイクオリティな演奏をコピーできるとは、さすがです。オリジナルは主にmaaakunさんが手掛けられてるんですか?

maaakun yu-naと行ったり来たりですね。ぼくが曲を作ることもあれば、yu-naが作ることもありますが、お互いやりとりしながら少しずつ完成させていきます。以前作って眠ったままの曲に手を加えて新たに形にすることもありますね。ぼくは曲作りのみで、作詞は今のところだいたいyu-naが。

yu-na 作詞をするときは、メロディを何度も聞いて自分なりにイメージを膨らませて、バンドの雰囲気にあった歌詞になるようにストーリーを考えます。

──なるほど、おふたりのやりとりの過程があって「すいてん」のオリジナル曲ができるわけですね。クスッと笑える話題から曲作りのマジメなお話まで、お聞きしていると、「すいてん」は、キーパーソンのドラムと救世主のボーカル、そして確かな腕を持つギターとベースで成り立っているという印象を受けます。


それぞれの思いを持ち寄り、「すいてん」の中でカタチに

──4人で活動されているみなさんですが、やはり個々に演奏や楽器へのこだわりがあると思います。そのあたりを思い思いにお聞かせください。

maaakun ぼくはいつもシェクターの7弦ギターを使ってるんですが、これなら高い音を殺さず低音が出せるんです。メタルは重くてダークな雰囲気なので、低い、メタル特有の音が出せる多弦のギターじゃないと演奏できませんね。


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maaakunさん愛用のギター。右(白)がメインに使う7弦、左(黒)の8弦はサブで使用するのだとか。


──えっ、7弦のギターなんてあるんですか⁉すみません、知らなかったです…! 素人な質問なんですが、7本も弦があったらネックが太くて持ちにくくないですか?

maaakun 慣れると普通の(6弦の)ギターじゃもの足りなくなりますよ。多弦ギターで活動している身としては、「多弦ギタリストといえば、maaakun」と思ってもらえたらうれしいですね。それから、一ギタリストとしてはもちろんですが、どっちかというとバンドをプロデュースするような感覚で活動していきたいなと思ってます。

──その言葉から、楽器へのこだわりがひしひしと伝わってきます。ギターが多弦ということは、もしやベースも?

ズッキー ぼくのベースも多弦なんです。バッカスの5弦ベースなんですが、低くてどろどろした音が特徴ですね。以前は4弦を使ってましたが、ぼくも同じく5弦に慣れてしまうと4弦には戻れませんね。一時期はプロも考えましたが、自分の思う方向に行けなかったのであきらめました。でも、30歳すぎまでは定職にはつかず、音楽ありきの生活をしてましたね。演奏では、自分の色はあからさまに出さず、でも、ここだと思う部分は強調していきたいと思ってます。

──音楽が大前提だったんですね。控えめな中にもご自身のカラーを出していく、という感じですね。ギターもベースも弦が多いほど音に深みが出るのでしょうけど、相当弾き込まないと弾きこなせないですよね。yu-naさんは中学時代、吹奏楽部でパーカッションをやっていたとのことでしたが、何か思い出はありますか?

yu-na うーん、そうですね。はじめは、力が弱すぎたりテンポが遅かったりでよく顧問の先生に怒られてました。でも、パーカッションのほかのメンバーが辞めてしまって一人になってしまった時、自分が頑張らないと、みんなを引っ張っていきたい、という気持ちになったんです。それがきっかけで、音も変わりましたね。

──そうかぁ、内面も成長して音も成長できたのかな。最初は怒られるほど力が弱かったのに、今ではメタルのドラムをパワフルに叩いてるんですもんね。それにしても、小柄で線の細いyu-naさんがメタルバンドのドラムを叩いてるなんて、ちょっと想像できないですよね。ギャップがすごい。

yu-na そうですね(笑) ギャップがあるってみんなに言われます。でも、そう思ってもらえるのは素直にうれしいですね。

maaakun 「すいてん」の名前の由来も、そういうところからきてるんですよ。「Sweet Temptation」はその名のとおり「甘い誘惑」なんですが、yu-naのイメージそのものですね。

──「甘い誘惑」はyu-naさんのイメージからだったんですね。確かに、かわいい女の子がメタルのドラムを叩くっていうこのギャップにやられる人は多いかも(笑) yu-naさん、ドラムの練習はいつもどれくらいやってるの?

yu-na 週3ぐらいです。基礎練からやるっていう部活の習慣がついてるので、3~4時間ぐらいは叩いてますね。

──たくさん練習してるんですね。yu-naさんは17歳(年齢は取材時)、高校生ということで、そろそろ進路を決める時期になると思いますが、この先もドラムは続けますか?

yu-na そうですね。進学は考えてなくて、アルバイトをしながらドラムを続けたいと思ってます。

──ああ~いいですね。好きなことやりたいことが目の前にあって、それに夢中になれるのはとてもかっこいいですね。さて、メンバーから救世主と呼ばれるボーカルのようさんですが、元々バラード向きの声とのことで、メタルに近づけるようにボイトレを頑張っておられるそうです。声の質が軽くて力任せにしか歌えないから、口の開き方から声帯の動かし方、力の入れ方まで本格的にレッスンを受けているとお聞きしました。メールでのやりとりのみですが、その情熱が伝わってきましたよ。

maaakun ようちゃんは声がパワフルだし練習熱心ですね。人前で歌った経験はないと言いながらも、はじめてのイベントですごく声も出てたし、よく入ってくれたなぁという感じですね。今はyu-naが歌詞を書いてくれてますが、ようちゃんが入ってくれたので彼女に詞を作ってもらうのもいいなと思ってます。やっぱり歌として声にのせてくれるのはボーカルなので。

──なるほどです。みなさんがそれぞれに思いやエピソードを持ち寄ることで「すいてん」として形になっているのかもしれないですね。


音楽は表現手段であり出会い 「すいてん」の今後の展開に期待

──ここまで結成のいきさつや個々の思いなどをお聞きしてきましたが、みなさんにとって「すいてん」、そして「音楽」とはどんな存在ですか?

maaakun  自分が声をかけて結成したバンドってこともあって、自分がしたいことそのものですね。妥協はしたくないですし。極端に言えば、「すいてん」を聴くとmaaakunを思い浮かべてもらえるかなと。音楽は聴く側よりも発信側ですね。音楽は奏でるもの、自分を表現する手段というか。

──発起人ならではの思い入れですね。先にお話が出た、バンドをプロデュースするような感覚っていうのとつながっている気がします。そういう意味でもmaaakunさんは表現者ですね。まさに「すいてん」イコールmaaakunというイメージが私の中でもできました。yu-naさんはどうですか?

yu-na うーん、そうですね。作詞するときにいつも意識してることがあって。基本的には悲しいストーリーなんですが、悲しいだけじゃなくて希望が見えるものにしたいなと思って作ってます。最後まで悲しい曲だったとしても、次の曲に希望を入れたり。

──わぁ~なんだかステキ。歌詞ひとつにもyu-naさんの思いがこめられてるんですね。

yu-na それと、私はmaaakunとは逆に、音楽はめっちゃ聴きます。音楽やドラムはもう生活の一部だし、人との出会いのきっかけでもあります。

──うんうん、音楽は出会いのきっかけになるよね。バンドから始まって、イベントなどでの交流もありますしね。ズッキーさんはどうですか?

ズッキー バンドにあったベースラインを大事にしたいですね。メタルっていうジャンルは、ぼく自身経験が浅いので、参考にいろんなメタルバンドを聴いてます。気になる曲のベースラインはとことん追求しますが、それを変に取り込まず、自分の色を壊さずに「すいてん」のベーシストとして馴染んでいけたらと。

──なるほど。さきほどもおっしゃっていたように、控えめな中にも自分のカラーを出す、ですね。ズッキーさんは職人気質という感じがします。それではここで、ようさんのコメントを。ようさんにとって「すいてん」とは「アットホームメタル」だそうですよ。また、音楽は「飽き性の自分が飽きない」存在だと答えてくださいました。ようさんにとっての「すいてん」は居心地のよい場所であり、音楽はすごいパワーがあるってことかなぁと思います。


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ドラムのyu-naさん(手前)とボーカルのようさん。


yu-na ようちゃんは年は離れてるけど、私にとって友だちみたいに話せる貴重なメンバーですね。

──yu-naさんの「音楽は人との出会い」という言葉をお借りしちゃいますが、ようさんの加入も、きっとその出会いのひとつなんじゃないかなと感じますね。繰り返しになるかもしれませんが、みなさん個性的で、三者三様と言いますか“四者四様”のバランス感が絶妙です。では最後に、バンドとしてこれからの目標をお聞かせください。

maaakun まずはCDを作りたいですね。(2020年の)6月以降はライブを入れていこうと思ってます。この記事がアップされる頃には、ライブがひとつでも決まっていればいいなと。

──ありがとうございます。「すいてん」のみなさんのご活躍、期待しています!


インタビューを終えて

お話を聞けば聞くほど個性派なみなさんですが、バンドとしての一体感は抜群。いろいろなタイプの方がいて、補い合って「すいてん」があるのだなぁと思いました。もしまた機会があれば、もう少し踏み込んでお話を聞いてみたいなぁというのが率直な感想です。今後はライブも増やしていかれるとのことなので、ぜひ一度彼らのメタルを聴いてみてください◎メタルを聴いたことのないあなた、もしかしたらハマっちゃうかもしれませんよ~。
※この内容は、2019年12月7日の取材に基づいて作成した記事です。その後、ベース担当のズッキーさんが脱退され、近日新しいベースさんが加入されることが決まっているそうです。


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ライブ映像
https://www.youtube.com/watch?v=CujPf0DMrbI&feature=youtu.be



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〈取材・文/中兵庫音楽人発信委員会&ライター あんこ〉


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伝統継承の一翼を担う津軽三味線界のエンターティナー◎吉川大山

こんにちは。中兵庫音楽人発信委員会ライターのあんこです。
少しあいだが空いてしまいましたが、みなさんいかがお過ごしでしょうか?暑かった夏はどこへやら、すっかり寒くなりましたね。
今回は、竹山流津軽三味線奏者である「吉川 大山(だいざん)」さんをご紹介します。これまではアマチュアの方を紹介してきましたが、なんと吉川さんはプロの演奏者!ちょっとドキドキしながら取材に臨みましたが、とっても気さくで話しやすい方で、笑いの絶えないひとときとなりました。日本の伝統楽器・三味線の基本的な知識も少し交えながら、そのお人柄をご紹介してゆきます。

芸歴19年、竹山流津軽三味線継承の一翼を担う

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──今日は愛用の三味線を携えて来てくださった吉川さんですが、三味線とのつきあいはもう長いのですか?

吉川さん 芸歴19年になります。7歳から習いはじめ、小学5年のときに名取、中学で準師範となり、昨秋「大山」を襲名し師範に昇格しました。

──19年とは長いですね。多くの流派が存在する津軽三味線の中で「竹山流」という流派だとお聞きしていますが、弾き方にはどんな特徴があるのですか?

吉川さん 「竹山流」は初代高橋竹山の奏法を受け継いだ津軽三味線で、ひとことで言うと、おとなしい弾き方ですね。数年前ブームになった津軽三味線の兄弟ユニットがいましたが、彼らの奏法は“叩き三味線”と言って、激しく叩く弾き方です。一方、竹山流は“弾き三味線”と言われ、どちらかというと静かに余韻を楽しみます(と言って、実際に三味線を弾いて見せてくださいました)。

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──はあ~(感嘆のため息)。流れるような繊細なバチさばきですね。余韻を楽しむというのは、日本ならではの弾き方のような気がします。“叩き三味線”より静かと言えども、やはり迫力満点ですね。お恥ずかしながら三味線の曲は詳しく知らないのですが、演奏会や公演では流派の曲を演奏されるのですか?

吉川さん はい、じょんから節や民謡などさまざまです。竹山が作った曲を継承してゆくのがぼくたちの使命ですね。流派によって指の使い方が違うのは当然ですが、竹山流の中でも、弦をすくう、はらうの組み合わせによって弾き方が変わります。

──ただ弦をはじくのではなく、細かい一連の動作が力強い音を生み出すのですね。こんなふうに間近で指使いを拝見することがないので、とっても貴重です。


出合った瞬間からいつもそばに三味線が

──竹山流継承の一翼を担う吉川さんですが、三味線をはじめたのはご家族やまわりの方の影響だったのですか?

吉川さん いえ、まったく無知からのはじまりでした。ただ、ぼくの地元多可町には「播州歌舞伎」という伝統芸能があり、小さい頃から三味線や和太鼓など和楽器の音に親しんでいたので、日本の伝統や和楽器に興味はありました。牛乳パックを重ねて作ったイスを和太鼓代わりにして遊んだりしていましたね。三味線と出合ったのは7歳のとき、西脇での演奏会でした。出演されていた津軽三味線奏者の演奏に衝撃を受けたんですよ。ひとりで弾いているのに何人もで演奏しているかのように音に立体感があり、一瞬で引き込まれました。今でも鮮明に覚えています。

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材質は、硬く重厚なインド産の紅木(こうき)。修理のために分解できるようになっている。弦は絹、糸巻きは象牙、駒は煤竹で作られている。


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バチは亀甲、持ち手は水牛のツノ。三味線はメンテナンスをしっかり行えば一生ものなのだそう。


──幼少期から和楽器伝統芸能に接する機会が多かったのですね。そして、吉川さんを三味線の世界へと誘ったのはその奏者さんだったと。ピアノやギターではなく和楽器に惹かれるとは、渋い子どもでしたね(笑)

吉川さん そうですね。演奏を聴いて自分も弾いてみたいという思いがあふれてきて、そのあとすぐに買いに行ったんです。

──えっ!? さっそくに三味線を買ったんですか!?

吉川さん はい(笑)。ぼくが弾きたいと言うと、母も直感でこの子はできると思ったようで。まだ先生も探していないのに先に三味線を買うなんて、免許を取っていないのに車を買うようなものですよね(笑)

──すごい行動力ですね!その一度の演奏で一気に三味線の魅力に引き込まれたんですね。お母さまも我が子のやりたいことを尊重する理解のある方ですね。それで、そのあと先生は見つかったんですか?

吉川さん 楽器屋さんの紹介で、丹波にお住まいの高橋昌山(しょうざん)師匠という方に弟子入りしました。この方が高橋竹山の孫弟子だったので、自ずと竹山流を習うことになりました。おもしろいことに、ぼくが衝撃を受けた奏者さんも同じ竹山流だったんですよ。

──そうなんですか。それってなんだか運命的!そこからお師匠さんについてずっと習ってこられたのですね。でも、長くやっていると、途中でやめたいとかほかの楽器をしたいと思うことはありませんでしたか?

吉川さん もちろん、うまくいかなくて落ち込むこともありました。でも、三味線から離れることはなかったですね。子どもの頃は、みんながやっているようなテレビゲームなんかよりもおもしろくて、ずっと弾いていました。中学のときに入院していた時期があったんですが、退屈でね(笑)、入院生活にストレスを感じていたんですが、そんなとき母が三味線を持ってきてくれたんですよ。病院の先生たちも弾いていいよと言ってくれて。病院で練習してましたね。

──入院中にも三味線を弾いていたなんて、本当に好きだったんですね。

吉川さん そうですね。それに、少しでもブランクがあると弾けなくなるんじゃないかとこわかったのも事実です。

──なるほど。三味線は吉川さんの分身のようなものですね。


演奏とトークでおもてなし

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──7歳からずっとそばにある三味線ですが、はじめての舞台は覚えていらっしゃいますか?

吉川さん もちろん。初舞台は8歳のとき、地元の観月会で、師匠とともに舞台に立ちました。それ以来観月会には毎年出演していて、ありがたいことにお馴染みになっています。

──ということは、今年で19回目!みなさん楽しみにしていらっしゃるのでしょうね。公演は地元はもちろん県外などでも?

吉川さん はい。月に数回、自主公演で県内外をまわっています。あちこち動くので音響設備も自分で準備してるんですよ。今後は海外での演奏も視野に入れていきたいですね。

──演奏だけでなく音響までも!演者と裏方どちらもこなせるんですね。公演では、いつも心がけていらっしゃることなどはありますか?

吉川さん やはりお客さんに喜んでいただけるのがいちばん。お客さんも自分も一体になって楽しめる演奏、そしてトークを心がけています。実はね、ぼくはおしゃべりが好きで、師匠や仲間からは“竹山流の噺家”と呼ばれてるんですよ。

──あら、そうなんですか。さきほどからお話をお聞きしていて話しやすいなあと思ったのは、それでだったんですね。私が聞き出す役なのに、吉川さんのおしゃべりが心地よくて、つい聞き入ってしまっていました。

吉川さん 演奏だけだとお客さんも退屈してしまうので、やはり楽しんでもらうにはトークも大切。トーク8割、演奏2割といったところでしょうか(笑)

──あれ、演奏が少ない(笑)。でも、吉川さんの聴き手へのおもてなしの気持ちが感じられます。海外進出も含めてこれから期待が高まりますね。昨年秋に師範になられたとのことですが、お弟子さんもすでにいらっしゃるのですか?

吉川さん はい、います。ただ好きでこの世界に飛び込んだ頃はこんなふうになるとは思ってもみませんでしたが、よい師匠と仲間に支えられて楽しみながら演奏しています。

──三味線が好きという気持ちと、吉川さんの努力のたまものでしょうね。最後に、吉川さんにとって三味線は分身のように身近なものだと思いますが、三味線をあまり知らない方に向けてのメッセージなどはありますか?

吉川さん 三味線は動画ではなく生の音を聴くと、やはり響くものがあります。実際に演奏を聴いてもらうことで、珍しい楽器ではなく日本の身近な楽器だということを知ってもらいたいですね。また、何歳からでもはじめられるので、興味があればぜひチャレンジを。

──吉川さん自身が過去に体験されたように、吉川さんの演奏を聴いて津軽三味線の世界に飛び込む人が、これからきっと出てくるのでしょうね。


インタビューを終えて

三味線は日本古来の和楽器。敷居が高いというイメージは正直私も持っていましたが、さすが“竹山流の噺家”と言われるおしゃべり上手な吉川さん、そのトークと演奏で、ムクムクっと三味線への興味が湧いてきました。みなさんも、まずはその奥行きのある音色を味わってみてはいかがですか?


●吉川大山さんの情報はこちら
Facebook
https://m.facebook.com/daigoro.yoshikawa.56#_=_

演奏映像
https://youtu.be/W-a0bqdW3xA
2017年に丹波の森公苑で行われた「つがるの風コンサート」の演奏風景。


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世界でひとつのギターを生み出すギタービルダー◎tomoya yoshikawa

こんにちは。中兵庫音楽人発信委員会&ライターのあんこです。

今回ご紹介する音楽人は、アコースティックギターの製作を手掛けるギタービルダー「tomoya yoshikawa」さん。西脇市内の工房「Guitar Craft Yoshikawa」にお邪魔すると、なんとも興味をかきたてられる個性的なギターが並んでいました。
プレイヤーでもあるyoshikawaさんは、ソロやユニットで多彩な音楽活動を繰り広げておられますが、今回はギターの作り手としてのお顔に迫ってみました。

ものづくりの経験を生かし、自分の楽器を自らの手で

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──ギターを弾く方はたくさん知っていますが、ギターを作っておられるという方にははじめてお会いしました。工房内にいくつかギターが展示されていて、眺めるだけでワクワクしますね。材料の仕入れや加工など、すべておひとりでされているのですか?

yoshikawa 材料の仕入れから販売まで一連の作業すべてを自分でやっています。どんなデザインにするかパソコンを使って設計し、削り出しなどの加工には専用の機械を用います。貼り合わせや塗装など時間はかかりますが、量産できないオリジナルのギターを作っています。

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──世界でひとつのオリジナルギターですね。そもそも、ギターを作りはじめたきっかけは何だったんですか?

yoshikawa 10代から半世紀ずっとギターを弾いてきて、自分で弾く楽器を自分で作れたら楽しいかなと思ったんです。会社を早期退職して作りはじめたのが2014年なので、今年で5年が経ちますね。長年電機メーカーに勤めていた中で金属加工の経験があり、ものづくりは好きなんです。でも、今度は金属じゃなくて木を削りたいと思ったんですよ。

──金属じゃなくて木を削りたい、と。おもしろいですね(笑)。ギターには長く触れてこられたのですね。ギターを弾いていても、自分で作ろうと思う人は少ないですよね。ものづくりに携わってこられたからこその発想だと思います。ギターの製作技術はどこかで学ばれましたか?

yoshikawa 最初は1年間、ギターメーカーが運営する専門学校に通いました。実際にギターを作っている工場の見学や、アメリカの楽器フェスティバルにも行きましたね。大まかな作り方を学んだあと、さらに自分なりに研究して工房を構えました。

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倉庫を改装したという工房。所狭しと本格的な機材が並びます。


──退職後にまた新しいことを学んだり、機材をそろえたりと、本当に好きでなければできないことですね。その熱意に感心させられます。


細部までこだわり抜いた個性派ギター

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──yoshikawaさんのギターは、ボディにちょっと丸みがあったり、サウンドホールの位置が真ん中ではなかったりと、私が知っているギターと少し違って個性的だなという印象を受けます。ギターを作る上でのこだわりやコンセプトを教えていただけますか?

yoshikawa 一般的なアコギのボディはフラットトップといって表面が平らな形なんですね。それに対して、湾曲しているものをアーチトップと呼び、こちらのほうが比較的高価で使う人が少ないのですが、独自のデザインを作ることが可能です。トップエンド側は、腕に当たる感触をよくするために丸みを持たせています。デザインも個性的になりますしね。それから、サウンドホールは、音が自分の耳に届くように角度をつけています。さらに、トップ表面の浮彫りの装飾。こんな装飾を施せるのも、削り出しで加工するからできることで、ここがオリジナルの醍醐味ですね。ここまで手をかける製作者はなかなかいないでしょうね(笑)。フラットトップのギターも作りましたが、やはりアーチトップのほうが作っていて楽しいです。

──へぇ~。いろんな工夫が施されているんですね。ギターを弾かない私でも、yoshikawaさんの説明をお聞きしていて、そんなギターなら確かに弾きやすいだろうなあと思います。

yoshikawa ちょっとした工夫でとても弾きやすくなるんですよ。ギターを演奏する上でいちばん大事なことは、やはり正確な音が出せることです。チューニングが少しでも狂っているときれいな音が出ません。そのチューニングに欠かせないのが、弦を支えるサドルです。市販のギターはサドルが固定式なんですが、ここを動かせると弦の調整がしやすいので、ぼくは可動式にしています。これはギターを作っていて気付いたことなんですけどね。音質の良さを求める人は多いですが、それより何より正確な音が出るギターが本物のギターと言えるんじゃないかな。

──なるほど。楽器はやはりチューニングが大事ですね。私、サドルという名前も役割も今はじめて知ったのですが、yoshikawaさんはプレイヤーでもあるからこそ実感としてわかることでなんしょうね。デザインも実用性も細部にまで気を配っておられますが、そうなると完成までかなりの時間がかかりそうですね。1台作るのにどれくらいかかるものなんですか?

yoshikawa ボディからネックまですべてにおいて考え抜いて作っているので、相当な時間を費やします。この5年で約10台手掛けましたが、いちばん長くかかったもので1年ですね。

──1年ですか!長い!根気のいる作業だと思いますが、どんなことを考えて作っていらっしゃるんですか?

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製作中のギター。板を貼り合わせてボディを作ります。


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さまざまな加工を経て、立派なギターが完成。


yoshikawa 音楽を聴きながら、楽しみながら作ってますよ。思うようにいかないことも、失敗することももちろんありますが。でもね、時間をかけて作ったギターは本当に我が子のようで、完成したときは喜びもひとしおです。

──あ~そうでしょうね。地道な作業をひたすら続けられるのは、やはり楽しいという気持ちと、できあがったときの喜びが大きいからでしょうね。

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約1年かけて作ったというマイギター。yoshikawaさんの手になじんでいます。


yoshikawa そうですね。ひとつ作ったら、次はこういうのが作りたいなというイメージが湧いてきます。前回できなかったことを取り入れて進化させていく、それも楽しいですね。実はね、このギター(マイギター)にはマイクを仕込んでるんですよ。弦を弾くだけがギターの演奏方法じゃない。パーカッションとしてボディ部分を叩く演奏スタイルもあるんです。(と、実際に演奏して聴かせてくださいました。)

──わぁ、いい音ですね!ギターはひとつなのに、パーカッションが入ると音の幅が広がりますね。


自分の音楽を追い求める人のために作りたい

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工房の窓には、青色が目をひくギターのステンドグラスが。


──ポリシーを持ってギターを作られているyoshikawaさんですが、オーダーを受けることもありますか?

yoshikawa ユニットを組んで一緒に音楽活動をしている仲間がいるんですが、これからその人のオーダー品に取りかかるところです。これまではどちらかというと自分のために作ってきたので、1台にかなりの時間を費やせましたが、オーダー品となるとそうはいきません。お客さんの要望に沿いながらコストや時間を工夫する必要がありますね。でも、装飾の彫刻など自分のこだわりは残したいと思ってます。

──使い手のことを考えながらも、ご自身が手掛けた証をさりげなく残す…職人としての心意気を感じます。

yoshikawa ギターはメンテナンスを怠らず上手に使えば一生ものの楽器です。だからこそ、ちゃんとしたものを作りたい。ギターを作っていて思うのは、ブランドのギターに固執する必要はないってこと。好きなギタリストが使ってるから、かっこいいから、と憧れを抱いて同じギターを買う人は多いし、それはそれでかまわないと思います。でも、だからってギタリストと同じ音は出せないんですよね。いろんなジャンルの音楽を聴くことで世界が広がるように、ギターもいろんなギターを知って、自分の音楽を追求してほしい。そして、個性を出せる楽器を求める人に、ぼくのギターが受け入れてもらえたらなと思います。

──yoshikawaさんの言葉一つひとつから、半端ないギター愛が伝わってきます。きっとそんなギターとの出合いを待っている人がたくさんいるはず。

yoshikawa そうですね。ギターメーカーに真似のできないギターを作ることで、みんなが持っている固定観念みたいなものを崩していけたらいいなと思うんですよ。

──私も今日お話をお聞きして、ギターの形はこういうものっていう固定観念が崩れました(笑)。自分の音楽を求める人が、ひとりでも多くこの工房を訪ねてくれたらいいですね。


インタビューを終えて

yoshikawaさんの手から生み出されるギターは、言葉どおり世界でひとつのオリジナル。ギターを弾く楽しみもその構造も熟知しているからこそ作れるものなんだと思います。だからと言って堅苦しい印象はなく、気さくでユーモアあるお人柄のyoshikawaさん。取材中も話が弾み、時間を忘れてギターの話に聞き入ってしまいました。
今回は作り手としてのお顔にフォーカスしましたが、プレイヤーとしてのyoshikawaさんのお話も改めてうかがってみたいと思います。


tomoya yoshikawaさんの情報はこちら
Facebook
https://m.facebook.com/tomoya.yoshikawa.31?fref=fc_search&ref=bookmarks
工房「Guitar Craft Yoshikawa」
西脇市郷勢町(西脇市役所から車で約2分)
◎少しでも気になった方は、上記Facebookまたは音楽人発信委員会へご連絡を。

〇次回の更新は10月25日(金)
プロ三味線奏者として多数の公演をこなしている「吉川 大山」さんをご紹介します!お楽しみに☆


〈取材・文/中兵庫音楽人発信委員会&ライター あんこ〉


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優しい歌声、心に寄り添う音楽を◎Chisato

こんにちは。中兵庫音楽人発信委員会&ライターのあんこです。
今回は、ツイキャスを中心にピアノ弾き語りで活動する「Chisato」さんをご紹介します。音楽人紹介はじまって以来初の女性!私は以前彼女の歌を聴いたことがあるのですが、優しく語りかけてくれるような声がとても印象的で、今でも耳に残っています。取材では、その穏やかな語り口や音楽にまつわるエピソードから、彼女の人柄がうかがえました。

歌いたい気持ちを大切に、ピアノ弾き語りを配信

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──弾き語りの配信をはじめたのはいつごろですか?

Chisato 10年ほど前です。最初はニコニコ生放送(以下、ニコ生)を利用していたんですが、途中からツイキャスに切り替えました。

──10年!長いですね。きっかけは何だったんですか?

Chisato ニコ生でアコギの弾き語りを聴くのが好きだったんです。私、7歳から高3までピアノを習ってたんですが、主にクラシックの曲を弾いていて、楽譜どおりに音符を読むことしか知りませんでした。でも、ギターはコード弾きができますよね。ピアノでもそういう弾き方があると知って、コード弾きに興味を持ったんですね。そんなとき、「ピアノが弾けるなら、コードの基本を覚えてニコ生で弾き語りを配信してみたら?」と背中を押してくれた友人がいて。その友人がコード弾きのやり方も教えてくれました。

──7歳から高3までピアノを習っていたんですね。その期間も、これまた10年と長い!これについてはのちほどうかがいますね。ライブ配信は、ニコ生とお友達の後押しがきっかけだったんですね。私もたまにピアノを弾くのですが、コード弾きはできないんですよ。覚えるのが面倒で(笑)

Chisato コードは奥が深くて、使いこなすには音楽理論を知っている必要があります。でも、それをマスターしておけば、いろんな曲にチャレンジできるので便利ですよ。私、10代後半のころからCoccoのファンなんですね。とにかく歌詞が心に響くんです。コード弾きを覚えてから、彼女の曲を弾き語りたいと思うようになって、それで配信をはじめました。ニコ生もツイキャスも、顔は出さずに音声のみで配信できるので、気軽にはじめられました。

──私が聴かせてもらったときもCoccoの曲で、声や雰囲気がぴったりだなぁと思いました。配信はどれくらいの頻度でしているんですか?Coccoのほかにはどんな曲を?

Chisato 多いときでは週に数回流してましたが、今は月に2~3回ですね。すべてカバーで、気に入った曲を演奏しています。1回の配信が30分なので、5曲ほどやってますね。

──30分はけっこう長いですね。ちょっとトークも入れたり?

Chisato しゃべるのは苦手なので、トークは入れません(笑)。演奏曲も、完成版ばかりじゃなくて、練習中の曲を入れたりもするんです。

──気楽な感じですね。よく聴いてくれるファンはいるんですか?

Chisato ツイキャスにはサポーター登録というのがあって、登録してる人のライブがはじまると通知が来るようになってるんですが、頻繁に聴きにきてくれる人もいます。コメントをもらえると、やっぱり励みになりますね。

──Chisatoさんの演奏を楽しみに聴いてくれるファンがいるんですね。応援メッセージもうれしいですよね。最近はツイキャスだけでなく、人前で演奏する機会も増えてきているんですよね?

Chisato そうですね。2年前にエクレアーズのイベントに出演したのがはじめてでした。今年は5月に、加東市のライブハウス「fuzzy」でのイベントなどに出演させてもらいました。でも、人前での演奏は緊張するから得意ではないんです。

──えっ!イベントで聴かせてもらったとき、すごく堂々と歌っているように見えたから、あまり緊張しないタイプなのかなと思ってました。

Chisato 全然そんなことないです(笑) 。緊張で頭が真っ白になるときもありますよ。弾きながら歌うのはやっぱり難しいです。何より、トークが苦手ですし。

──私もしゃべるの苦手だから、気持ちはすごくわかります。じゃあ、緊張してるように見せないようがんばってるんですね?

Chisato うーん、そうですね(笑)。

──レパートリーは何曲ぐらいあるんですか?

Chisato 数えたことないですが、たくさんです(笑)。ツイキャスでもイベントでも、毎回かぶらないように、いろんな曲を練習してます。最近は、たまの『さよなら人類』が好きですね。

──10年も活動していたら、確かに数えきれないですよね。毎回かぶらないように心がけているのが、さすがです。演奏する曲はすべてカバーとのことですが、オリジナルは作らないんですか?

Chisato やってみたことはあるんですが、ちょっと違和感があって。カバー曲でも、ツイキャスで「この曲を歌ってほしい」とリクエストをいただくことがあるんですけど、やっぱり自分が歌いたいと思った曲を演奏したいですね。気持ちがのってこそ楽しく歌えるので。

──確かに。音楽活動を続けるうえで、歌いたいっていう気持ちは大切にしたいですよね。


好きなこと、それが歌につながっている

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愛用の電子ピアノと、愛猫。

──ピアノのほかにも、英語の勉強をがんばっていると聞きましたが?

Chisato はい。映画『ボヘミアン・ラプソディー』を観て、クイーンにハマっちゃって。主役のフレディのセリフを聴きとりたくて、英語の勉強をはじめました。スマホで手軽に学べるアプリで勉強してるんですが、続けていると、少しだけですが前より聞き取れるようになったんです。

──すごい!勉強の成果が出てるんですね。クイーンが英語を学ぶきっかけをくれたわけですね。

Chisato はい。クイーンの曲もですが、英詞のレパートリーを増やせたらなと。ライブ前にはボイストレーニングを受けることがあるんですけど、歌うときにのどを開くように指導されるんですね。それって、英語の発音と近いものがあるなって最近気づいたんです。

──英語の勉強が歌にも生かせる、ということですね。ますますレパートリーが広がりますね。Chisatoさんのクイーン、聴いてみたいです。

Chisato ありがとうございます。英語のほかにも、ヨガも好きで教室に通ってるんですが、ボイトレの先生がヨガは歌うための体の動かし方だともおっしゃっていて。呼吸しながらゆっくりと体を動かすとスッキリするから好きなんですけど、ヨガは呼吸が大事と言われているし、歌うときも息を意識しないといけないから、一見ジャンルが違うようだけど確かに似てるなって。

──なるほど、それはおもしろいですね。英語もヨガも、現在進行形でChisatoさんの音楽活動につながっているんでしょうね。


自身が心の支えとするピアノで、誰かの心に寄り添えたら

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──ピアノを10年習っていたとのことですが、途中でやめたいとか面倒だなとか思ったことはありませんでしたか?

Chisato 好きだったので続けられましたね。学生時代、気持ちがちょっとしんどいなと思うことがあったんですが、ピアノを弾いてるときは、つらいことも忘れられたんです。自分のために弾いていた、という感じ。私にとって、ピアノも含めて音楽は、当時からずっと心に寄り添ってくれるものなんです。

──幼少期からピアノに触れてきたChisatoさんにとって、音楽はなくてはならないものなんですね。Chisatoさんが音楽を心の支えにしているように、Chisatoさんの演奏を心のよりどころにしている人がいるかもしれませんね。

Chisato どうだろう…そうだとうれしいです。自分の好きな歌を歌うことで、みんなにその歌を知ってほしいし、私も人の演奏を聴いて、いろんな曲と出あえたらいいなと思います。

──うんうん。音楽の幅が広がっていけばいいですよね。今後の活動はどうですか?ライブを増やしていく予定はありますか?

Chisato ツイキャス配信は自宅でこっそり続けていきます。ライブはやっぱり緊張するし、トークができないので頻繁には難しいですが、機会をもらえたらうれしいですね。実はこの夏にライブが決まっていて、これからそれに向けて練習する予定です。聴いてくれる人に少しでも届くように、今回もボイトレのレッスンを受けようと思ってます。それから、これは夢なんですが、いつか大人向けのピアノ教室ができたらいいなと。

──ライブへの苦手意識を持ちながらも、前向きに取り組む姿勢がステキです。大人向けのピアノ教室を開くという夢をお持ちなんですね!そういえば今、大人の音楽教室って流行ってますね。

Chisato コード弾きも含めて、初心者の方でも弾きたい曲を弾けるようにお手伝いできたらなって。

──Chisatoさんなら安心してレッスンを受けられそう。私も、コード弾き教えてほしいです!


インタビューを終えて

ほんわかした雰囲気を醸し出すChisatoさん。取材中も、その優しい声に癒やされっぱなしでした。でも、その奥にはブレない強い芯があるのだと、お話をお聞きして感じました。オリジナル曲は持っていないChisatoさんですが、彼女の人柄、声そのものがすでにオリジナル。Chisatoさんのツイキャス配信、みなさんもぜひのぞいてみてください♪


●Chisatoさんの情報はこちら
ツイキャス
https://twitcasting.tv/c:2rikake

ライブ映像
youtu.beたまの『さよなら人類』を弾き語り♪


〇次回の更新は9月25日(水)
個性的なギターを手掛けるギタービルダー「tomoya yoshikawa」さんをご紹介します!お楽しみに☆


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自分たちのカラーはこれから作ってゆく、新進気鋭の高校生バンド◎S!phon(サイフォン)

こんにちは。中兵庫音楽人発信委員会&ライターのあんこです。

蒸し暑い日が続いていますが、みなさん、いかがお過ごしでしょうか?今回は、そんな暑さも吹き飛ばす勢いのある高校生4人組バンド「S!phon(サイフォン)」をご紹介します。前回はおっさんの青春をピックアップしましたが、彼らはまさに今が人生の青春時代。10代後半の多感な今だからこそ思うこと、感じるものがあると思います。今年6月で結成2周年を迎えた彼らの、音楽や仲間への思いを聞いてみました。

さいころからずっと一緒の4人組「S!phon」

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──取材というとなんだか堅苦しいですが、ざっくばらんに話をしてもらえたらなと思います。「S!phon」は高校生4人組のバンドということですが、まずはメンバー紹介をお願いします。

Ryu ギターのJo、ベースのRicky、ドラムのぐっち、そしてぼく、ボーカルでリーダーのRyuです。

──みなさん、高校の同級生なんですか?

Ryu はい。高3で、みんな同じ西脇市内の高校に通ってます。

──バンド結成はいつ?そのきっかけも教えてください。

Ryu 結成は高校1年の6月でした。ぐっちはもともとドラムを、Joは趣味でギターをしていて、ぼくは歌うことが好きだったので、バンドを組もうという話になったんです。ベースがいなかったので、ちょうどベースがしたかったRickyに入ってもらいました。

──高1の6月に結成して、今3年生ということは、ちょうどこの6月で2周年ですね。ぐっちくん、Joくんは以前からそれぞれドラム、ギターをしていたということですが、どれくらい続けてるんですか?

ぐっち 小学校高学年のときにオーケストラ部があって、そこでドラムをさせてもらってたんです。中学時代はまったく活動してませんでしたが、高校でまたこうやってドラムを叩けることになりました。

──小学校でオーケストラ部があったんですね。オーケストラとバンドでは雰囲気も演奏する曲も違うと思いますが、今バンドをやっていてどうですか?

ぐっち オケは大人数だから、テンポがずれたり自分のちょっとしたミスが周りに大きく影響するので、あわせるのが大変でした。でも、バンドだと4人だから、カバーし合って演奏できるし、楽しいですね。ぼくたち4人は保育所のころからずっと一緒だから、なんでも気軽に話せるし、コミュニケーションがとれる。それぞれが自分の意見を言える関係だからこそ、演奏しやすいんだと思います。

──へぇー!みんな小さい頃からの幼なじみなんですね。保育所から、小・中・高とずっと一緒ってことですよね?気心の知れた仲なんですね。ぐっちくん、ドラムセットは持ってるの?

ぐっち ドラムはないんですが、カホンを持ってます。オケでカホンも叩いてたから、バンドでは演奏する曲によって使いわけてます。


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ぐっちくん愛用のカホン。抜群のリズム感で演奏をリードしてくれるそう。


──Joくんはギター歴は?

Jo ぼくは小5か小6のときにギターをはじめました。当時は難しくてあまり練習しなかったんですが、中3になってまた触りはじめて。そのときは「S!phon」とは別のグループで弾いてました。

──小学生のときにギターをしたいなと思ったきっかけってなんだったんですか?

Jo 実はぼくも、ぐっちと同じオーケストラに入っていて、チューバを演奏してたんです。音楽には興味があったし、ギターって単純にかっこいいなと思って、やってみたくて。

──ぐっちくんもJoくんも、小学時代のオーケストラが音楽への入り口だったんですね。Joくん、今日はギターを持って来てくれてると聞きましたが、小学のときからずっと同じギターを使ってるの?

Jo それも使ってるんですが、最近新しく買ったんです。P.R.Sっていうんですけど…。(と言って、おもむろにギターを出してくれました)


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最近手に入れたというP.R.S(ポール・リード・スミス)SEカスタム。


──わぁ、ツヤツヤですね!

Jo ツヤツヤです(笑)

──Rickyくんはバンドを組むときにベースをはじめたとのことですが、憧れのプレイヤーとか、このベースがほしかったとかありますか?

Ricky ミュージックマン・スティングレイっていうベースです。ベースをやりたいなと思っていたときに見ていたYouTubeの人と、自分の好きなレッチリ(=Red Hot Chili Peppers)のベーシストがこのベースを使ってたので、それで。


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Rickyくんのミュージックマン・スティングレイ。


Ryu Rickyがベース初心者ってことで、最初は3人でカバーしてたんですが、すごく練習して上達したんですよ。

──そうなんですか。Rickyくん、練習めっちゃがんばったんですね。

Ricky そうですね、ずっと弾きまくってました(笑)

──Ryuくんは歌うことが好きということですが、何か歌の経験はありました?

Ryu 歌うことは好きですが、やっぱり好きだけじゃダメだし、聴かせる歌を歌いたいと思って、高1の冬からボイストレーニングに通ってます。

──ボイトレに通ってるんですね。聴かせる歌を歌うために…とは本格的ですね。それにしても、4人とも希望のパートがかぶらず、それぞれの得意分野を生かしてバンド活動ができるなんて、なかなか貴重なことですね。そんな4人のバンド「S!phon」ですが、バンド名の由来はなんですか?

Ricky 「siphon(サイフォン)」は、ギリシャ語で“上に上がっていく”という意味なんです。上を目指してがんばるという思いをこめて、この名前をつけました。「siphon」の「i」をひっくり返して、「!」にしたところもポイントです。

──“上を目指してがんばる”、かっこいいじゃないですか。若いみなさんにぴったりの名前ですね。でも、ギリシャ語の意味、よく知ってたね。

Ricky ゲームが好きなんですが、ゲームにその言葉が出てきて印象に残ってたので。

──なるほど、ゲームも役に立つね(笑)


いろんな曲に挑戦したい、その先に自分たちのカラーを作り出してゆく

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左から、ドラムのぐっちくん、ベースのRickyくん、ギターのJoくん、ボーカルのRyuくん


──バンドの練習はいつもどこでやってるんですか?

Ryu 練習場所はだいたい、西脇スタジオ(エクレアーズの拠点)や市内のコミュニティセンターですね。集まったときにあわせられるように、それぞれ家で練習してます。

──近くにいい場所があるんですね。演奏する曲はどうやって決めてるの?

Ryu 曲は、ポップス、ロックを中心にカバーをやってるんですが、みんなで決めるというより、一人ひとりが自分の練習曲を持ち寄って、みんなであわせるという感じです。

──4人いたら意見がわかれることってありそうですが?

Ryu 全然そんなことはないですね。ね?

一同 うん、ないよね。

──へぇ~そうなんだ。じゃあ、みんな好みはだいたい似てるんですね。

Ryu そうですね。それに、候補曲をたくさん決めてるので、やりたい曲が難しいときはほかの曲を選んだりして、みんなであわせます。そのために、それぞれが曲をピックアップしてるんです。

──なるほど、そういう選曲のしかたもアリですね。ポップス、ロックのカバー中心とのことですが、「S!phon」の持ち曲で代表的な曲は?

Ryu MONGOL800の『小さな恋のうた』とONE OK ROCKの『欲望に満ちた青年団』、それに、米津玄師さんの『アイネクライネ』です。

──あ、30代の私も知ってる曲でなんかうれしい(笑)。『小さな恋のうた』はいろんなアーティストがカバーしてますよね。こんなふうになりたいとか、目指してるアーティストはいるの?

Ryu 好きなアーティストは個々にはいますが、チームとしては、いろんな歌手の曲を広く浅く練習して、ジャンルをしぼっていきながら、最終的には自分たちのカラーを出していきたいなと思ってます。今はその途中ですね。

──うんうん。地道に、確実に、練習を積み重ねて自分たちの方向性を決めてゆく、ということですね。しっかりしてるなぁ。人前での演奏はもう経験しましたか?

Ryu イベント出演は数回あります。はじめて出たのが去年の8月で、西脇市内の町の夏祭りでした。地域の方に声をかけてもらって、『小さな恋のうた』と『欲望に満ちた青年団』の2曲を演奏しました。去年11月には、同じく市内の小学校の体育館で開催されたイベントと、ほかにも小学生対象のイベントにバンド枠で出演しましたね。

──初舞台は地域の夏祭りだったんですね。声をかけてくれる人がいるってありがたいね。でも、ステージに立つって緊張しませんか?失敗したらどうしようとか。

Ryu 緊張します(笑)。だから、演奏前はいつも円陣を組んで気合いを入れてます。もちろん失敗もするけど、引きずらないようにしてますね。反省して、次につなげるように。でも何より、演奏中は思いっきり楽しむようにしてます。自分たちが楽しむことで、聴いてくれる人も楽しませることができると思うから。

──自分たちが楽しむ、それがいちばんだと思います。いつも聴きに来てくれる人はいるの?友達とか。

Ryu はい、同級生が。友達が聴きに来てくれるってやっぱりうれしいですね。これから持ち曲を増やして、ファンも増やしていけたらなと思います。今はイベント出演がひとつの目標ですね。この夏もまた出演が決まっているので、それに向けて練習中です。

──気合いが入りますね。まずは自分たちの地元・西脇市内のイベントで場数を踏んで、たくさんの人に「S!phon」を知ってもらえたらいいですね。


対バン、路上ライブ…つきない夢、卒業してもこのメンバーで

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──みんな同じ高校の同級生とのことなので、ちょっと学校の話も聞いてもいいかな。学校でもいつも一緒にいるんですか?

Ryu 学科がいくつかあるんですが、ぼくとJo、Rickyとぐっちが同じで、2・2にわかれてるので、いつも一緒ではないんです。でも、選択授業で4人とも音楽をとっているので、クラスが違っても交流はありますね。いろんな楽器を演奏したり、音感を鍛えたりと、楽しいです。

──音楽の授業を選択するところは、やっぱりみんな音楽好きで気が合いますね。

Ryu そうですね。それに、部活は、Jo以外の3人は同じ放送部なんです。

──あら、Joくんだけ部活が違うんですね?

Jo ぼくだけサッカー部なんです。練習で疲れたりしてギターの練習に打ち込めないときもあったんですが、もう引退したので、これからギターの練習に専念したいですね。

──そっか、Joくんはサッカーやってたんですね。運動部だったら練習でへとへとになるもんね。放送部の3人はどんな活動をしてるんですか?

Ryu 音響機材を触らせてもらえるんです。体育祭や文化祭など学校行事の放送もします。

──音響は演奏にもなくてはならないものだし、部活で習ったことがバンド活動に生かせそうですね。文化祭っていうキーワードが出てきたんですが、出る予定は?

Ryu 文化祭は11月にあるんですが、バンド出演は禁止になってるんです。

──えっ、そうなの⁉それは残念!

Ricky でも出たいよね。

Ryu うん。せっかくの機会なので、ぼくらのやりたいって気持ちを先生に言いに行こうと思ってます。 

──おおっ、すごい、前向き!せっかくの高校最後の文化祭、みんなで舞台に立てるといいですね。3年生で卒業という言葉もチラついているかと思いますが、卒業後もバンドは続けていきますか?

Ryu もちろん、このメンバーで続けたいです。

──これからの目標や夢はありますか?

Ryu いちばんやりたいことは、対バンですね。ぼくたちが主催して、いろんなバンドを集めて共演してみたいです。それに、技術が上がれば難しい曲にも挑戦したいし、いつかはオリジナルもやってみたい。路上ライブもやりたいですね。


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Ricky 最終的な夢はメジャーデビューです(笑)

Ryu そう、まずはMステに出るところからですね(笑)

──いいねいいね。デビューして何年後かにこの取材記事を振り返って、こんなころもあったな~って懐かしむときがくるのかな(笑)


それぞれの思いを胸に、チームとなって奏でる一体感

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──数年後にはメジャーデビューを控えている「S!phon」ですが(笑)、自分たちのここを聴いてほしい!っていうところはありますか?

Ryu 楽器隊の音が一体になっているところです。ぼくはボーカルだからよくわかるんですが、ギター、ベース、ドラムの音が合っていて歌いやすいんです。

──うんうん。という話ですが、楽器隊のみなさん、演奏で心がけてることってありますか?


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ぐっち お互いあわせるように心がけてますね。

Ricky それと、やっぱり、ボーカルのハイトーンボイスですね。リーダーとしてぐいぐい引っ張っていってくれますし。

──ボイトレで鍛えたハイトーンボイスですね。ぐっちくんがはじめに話してくれたように、みんな昔からの仲でお互いをよく知っているからこそ、一体感のある演奏ができるんでしょうね。そこにRyuくんのハイトーンボイスがあわさって、「S!phon」の音になる…そんな仲間がいるって、すごくうらやましい。では、最後に。みなさんにとって、音楽ってどんな存在ですか?

Ryu ぼくにとって音楽は友だちづくりです。ボイトレの先生が主催しているイベントでいろんな人とセッションする機会があって、音楽を通してつながれた人もいます。

──友だちづくりですか、いいですね。音楽を通して出会えた人とのつながりは大切にしたいね。Joくんはどうですか?

Jo ぼくも同じですが、それプラス、自分の思いを伝えられることが魅力ですね。普段は表現できない気持ちを、ギターでなら思いきり表現できるんです。

Ricky ぼくもJoと似ていて、普段人前に出るのは苦手で感情を表に出すことって少ないんですが、音楽をやってると堂々と人の前で自分の感情を出せますね。

──そっか~。思いきり楽器を演奏することで、そこに思いをぶつけられるのかな。でも、普段は感情を出せてないの?(笑)

Ricky 出してるけど、出しきれてないんです(笑)

──そうなんだ(笑)。ぐっちくんは?

ぐっち 自分にとって音楽ってなにか、今はまだこれというものがないので、みんなと活動していく中で自分なりの答えを出していきたいです。

──はぁ~、なんだかかっこいいですね。

Ryu ぐっちはやる気なさそうに見えて、実は情熱を秘めてるよね。

Jo スティック持ったら雰囲気変わるしね(笑)

──やっぱりみんなお互いのことをよく見てますね。一人ひとりが音楽やメンバーへの思いを持ちながら、4人がひとつになって「S!phon」は成り立ってるんだなぁと感じます。あ、もうひとつ最後に。自分たちをひとことで言うと?


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一同 元気、やる気、たまに弱気!(笑)

──うんうん、弱気もあってよし(笑)。高校生らしいコメント、ありがとうございます!


インタビューを終えて

私が投げる数々の質問に真剣に答えてくれた「S!phon」の4人。地道に練習を重ねる中で自分たちのカラーを出してゆこうとする姿勢に感心させられました。でもやっぱり、失敗しても引きずらない、文化祭でバンド演奏をしたいなど、前向きでがむしゃらなところは若者ならではで、30代の私の目にはとてもまぶしく映りました。幼い頃からずっと一緒で、みんな音楽が好きで、バンドを結成できる。あたりまえのように一緒にいるかもしれないけれど、それってとても貴重なことなんじゃないかなと思います。仲間との絆を深めながら、これからいろんな経験をして、“音楽人”として西脇から全国へと羽ばたいてほしいですね。


●S!phonの情報はこちら
公式インスタグラム
S!phonさん(@siphon_official) • Instagram写真と動画www.instagram.com
YouTubeチャンネル
https://www.youtube.com/channel/UCbce_XUpBc12QZPeJBW0_mQ
これからどんどん動画をアップしていく予定!


〇次回の更新は8月25日(日)
癒やしのウィスパーボイス「Chisato」さんをご紹介します!お楽しみに☆


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1本のギターからはじまるおっさんの青春◎Nonacode(ノナコード)

こんにちは!中兵庫音楽人発信委員会のメンバー&ライターのあんこです。

2回目となる今回は、今年四十路を迎えたもりちゃんとまっさんのアコギユニット「Nonacode」をご紹介。おふたりは、軽音楽サークル「エクレアーズ」の運営メンバーとして活躍されていますが、「Nonacode」は結成3か月というまだできたてホヤホヤのユニット。
実は私あんこは、一度だけこのおふたりと一緒に演奏させてもらったことがあります。なので、彼らがとっても陽気で音楽好きなことを知っているのですが…今回は取材ということで、ちゃんとマジメにお話を聞かせていただきました。

40歳からの本気スタート

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──改めて取材となると、なんだか緊張しますね(笑) まず、アコギユニット「Nonacode」結成のきっかけを教えてください。

もりちゃん ぼくら今年で40なんですが、エクレアーズで積極的に音楽活動をする10代20代の若い世代を見てたら、自分も本気で音楽を楽しみたい!って思ったんです。

──おおっ。若いプレイヤーからよい刺激を受けたんですね。エクレアーズは、6年前にまっさんが働きかけて立ち上げたサークルですよね?

まっさん そうです。年齢はさまざまで、サークル内で気の合う仲間同士がそれぞれバンドやユニットを組んで活動してるんですが、若い子たちはみんな熱い思いを持ってますね。

もりちゃん そうそう、音楽に対する覚悟みたいなものが感じられて。これはぼくらも負けてられないなって。

──おふたりも若いころ、音楽に夢中になっていた時期がありました?

まっさん そうですね。ギターは中学のときからはじめて、当時は長渕剛井上陽水などのフォークを弾いてました。でも、聴くのはX(エックス、現X JAPAN)とかロックも多かったかな。高校時代はベースもドラムもひととおり触りました。バンドを組んで、文化祭でBOØWY(ボウイ)をやりましたね。

もりちゃん ぼくは高校時代はドラマーとしてバンド活動してました。当時流行ってたビジュアル系、LUNA SEAルナシー)とかやってましたね。

──へぇ~。それぞれ学生時代の思い出があるんですね。振り返ってみると、青春ですね。

まっさん 当時は音楽の存在がすごく近かったですね。今またおっさんからのスタートってのは何かと不安材料が多いですが、もう一度青春時代が来たと思ってやりたいですね。

もりちゃん 気負わず、気楽に、でも本気で楽しみたいですね。

──40歳からの本気スタートですね!いいじゃないですか~!


ひとりから仲間へつながる出会い

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──すごく気が合っていそうなおふたりですが、そもそも出会いはエクレアーズがきっかけなんですか?

まっさん 学生時代は音楽に触れる機会が何かと多かったんですが、社会人になってからは仕事が忙しかったりで音楽から離れてたんです。でも、やっぱりやりたいな〜と思って。それで再開したものの、ひとりだとモチベーションが1か月と持たなくて(笑) それで、バンドメンバー募集サイトで一緒に練習できるメンバーを募ったんです。そこに最初に応募してくれたのが、もりちゃんやったんよね。

もりちゃん そうそう。ぼくもね、まっさんと同じくブランクがあって。ひとりでドラムを叩いてても寂しいなあと思ってたから、募集サイトでまっさんの書き込みを見て、これや!と思って応募したんですよ。

──そうなんですね。同じ中兵庫の片隅で、仲間ほしい!って発信したまっさんの思いを、もりちゃんがキャッチしたわけですね。

まっさん ひとりなら挫折しがちでも、誰かと一緒なら、教えあったり目標ができたりするじゃないですか。同じ音楽好きな人とつながれることって、すごく貴重ですよね。

もりちゃん ぼくも同感。サークルに入って、人とのつながりの大切さを感じます。

──うんうん、ひとりから仲間に広がっていったんですねぇ。

まっさん あ、そうそう。「Nonacode」の名前の由来もそういうところから来てるんですよ。

──というと?

まっさん 「Nonacode」の「nacode(なこーど)」は、音楽とメンバーをつなぐ「仲人」になれたらという思いをこめてるんです。「Nona(のな)」は、エクレアーズの拠点が西脇市の野中(のなか)町というところなんですが、そこからとってます。

もりちゃん 「code」にはギターのコードの意味もあるよね。

──なるほど!3つの意味がこめられてるんですね。音楽とメンバーをつなぐ「仲人」だなんて、あたたかみのあるステキな名前ですね。エクレアーズ初期メンバーのおふたりならではだと思います。サークルの中でも同年代でつながりが深いおふたりですが、演奏する曲を決めるとき意見が食い違ったりしないんですか?

まっさん もちろんジャンルは違うけど、年代的に同じ道を通ってきたから分かり合えることってあると思うんです。演奏する曲はお互いの「好き」を持ち寄って決めることにしてます。

もりちゃん カバーはもちろん、オリジナルもやりたいよね。

──おふたりを見てると、ほんとに気心の知れた仲という感じがしますね。


スティックをピックに持ち替えて

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もりちゃんのオベーションギター。枯れ葉のような装飾と丸みのあるボディバックが特徴なのだとか。


──もりちゃんは、これまでドラムメインに活動されてきたと思うのですが、ギターははじめてですか?

もりちゃん これまで少しは弾いてたんですが、ユニット結成を機に本格的にはじめました。歌うことも好きなので、「Nonacode」ではギターボーカルに挑戦します。

──「Nonacode」では、ドラムからボーカル&ギターへ転身ですね。以前に一緒に「スピッツ」の『楓』を演奏したときは、カホンを叩きながらハモってくれましたもんね。

もりちゃん ギターはほとんど初心者みたいなもんですが、楽しみながら練習していきたいです。

──ギターを抱えたもりちゃんから、意気込みが感じられますね!あっ、そういえばもりちゃん、最近は娘さんの写真を撮るのにハマってるって聞きましたが?

もりちゃん そうなんです。1歳になる娘がいるんですが、かわいくて。娘にはピアノをさせたいなと思ってます。いつか娘とステージで共演したいですね。

──もりちゃんのギターと娘さんのピアノで親子ステージ!ステキな夢ですね!実現できるといいですねぇ。


和太鼓につながる打音に惹かれて

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まっさん愛用のヤマハのギター。3年のつきあいになるのだそう。


──まっさんがさっきからちょっと弾いてくれてるんですけど、弾きながら叩いてるのは、何かの演奏法ですか?

まっさん ギターを弾きながら叩く奏法をスラム奏法といって、ギターにパーカッションを組み合わせる感じですね。ぼくは和太鼓をやってるから、やっぱり、叩く音…打音に惹かれるんだと思います。ギターの技術が向上すれば、和太鼓にもつなげていきたいなと考えてます。

──ギターは弾くだけじゃなく、打楽器にもなるわけですね。ところでまっさん、和太鼓もされてるんですね?

まっさん そうなんです。今年で16年目に入りました。「つるぎ太鼓」っていうグループで活動してます。

──16年とは長いですね!「つるぎ太鼓」さんもいずれここで紹介したいですね。

まっさん 歴だけは長いんですよ、ぼく(笑)みんながんばってるので、 また紹介してください。

──はい、ぜひ。ギターと和太鼓って、まったく違う楽器というイメージですが、そうやってどこかでつながってるって、おもしろいですね。


学生時代もブランクも超えて、今からはじまるNonacode

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──「Nonacode」結成のきっかけやおふたりの出会い、それぞれの目標などもお聞きしましたが、おふたりにとって音楽とは?

もりちゃん ぼくにとって音楽はお酒のアテだったんですが、今はただのアテじゃなく、人生のenjoy!ですね。みんなでお酒を飲みながらワイワイ音楽できる場があれば最高。学生時代もやっぱり楽しかったけど、今がいちばん楽しいです。

──めっちゃ楽しそう(笑) もりちゃん、enjoyしてる気持ちが表情に出てますね~。なんだかうらやましくなります。まっさんはどうですか?

まっさん 音楽は思いを表現するツールですね。ずっと音楽をやってきた人と比べると技術ではかなわないけど、ぼくたちなりに思いを伝えられたらなと。

──うんうん、まっさんの音楽に対する真剣な思いも伝わってきます。これからの「Nonacode」の活動が楽しみですね。

もりちゃん まずはエクレアーズのイベントが目下の目標!気軽に演奏できるところからはじめたいよね。聴いてくれる人はもちろん、自分たちも楽しみながらね。

まっさん うん。少しでも多くのステージに立てたらいいよね。それで、ぼくたちみたいにブランクがあるけどこれからまたはじめたいって人に、少しでも勇気を与えられたらうれしいですね。

もりちゃん そう、ぼくらは中年の星やね!

──おおっ、もりちゃんがいい感じでまとめてくれました!(笑)


インタビューを終えて

音楽から離れていた期間もあったけれど、やっぱり音楽がしたいと再開し、つながったふたり。年齢を重ねた今だから、できること、伝えられることがあると思います。青春時代のエピソードやこれからの活動の話で盛り上がるおふたりを見ていると、なんというか微笑ましくて、お互いに信頼し合っているからこその「Nonacode」なんだなぁと感じました。中年の星☆Nonacode、応援してます!


●Nonacodeの情報はこちら
ファンサイト 
https://note.mu/nonacode
この特集の予告動画(下記LINE@にて配信中)に音楽提供してくださっているのも彼らなのです。


〇次回の更新は7月25日(木)
新進気鋭の高校生バンド「S!phon(サイフォン)」をご紹介します!お楽しみに☆


〈取材・文/中兵庫音楽人発信委員会&ライター あんこ〉


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歌に心をのせる、情熱を秘めた表現者◎けんじゅん

はじまりました、中兵庫の音楽人紹介。
発信委員会のメンバーでありライターである私、あんこが、プレイヤーのみなさんにささやかなインタビューをさせていただき、毎月1回発信していきます。

記念すべき1回目は、ソロでギター弾き語りをされている「けんじゅん」さん。
加東市でライブハウスを切り盛りするかたわら、自らもプレイヤーとして活動しています。ギターを手にした中学生のころからオリジナル曲を作り続け、一度はプロも目指したというほどの情熱の持ち主。音楽仲間もあまり知らなかった彼の魅力に迫ります。

感情を歌にのせ、音と体で表現する楽しさ

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───アコギで弾き語りをされているけんじゅんさん。中学生のときから、すでにオリジナルソングを作られていたのだとか?

けんじゅん 音楽は昔から好きで。いとこがギターを弾いていたので、その影響は大きいかも。ギターをはじめた15歳のときからオリジナルを作ってます。雰囲気は、ゆずとか当時流行ってた19(ジューク)みたいな感じですね。

───誰かの曲をカバーするのではなく、オリジナルなんですね。その醍醐味とは?

けんじゅん 自分の感情を歌にのせることができる、それが一番の魅力だと思います。ネガティブもポジティブも、そのとき感じたこと、恋愛や仕事の迷い、悩み、人生観…いろんな感情や経験を歌にしてきました。例えば恋愛だったら、好きっていう気持ちをうまく伝えられなくて、そんなもどかしさを歌にしてましたね。

───なるほど、自分の思いを歌にできるのはオリジナルならでの魅力ですよね。


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相棒のギブソンJ-100
そのルックスに惹かれて購入したといいます。「いろんなギターを使ってきたけど、やっぱり最後はこれに落ち着きます」とけんじゅんさん。


───どんなふうに曲作りをされてるんですか?

けんじゅん 歌詞が先だったりメロディが先だったり、サラサラ書けるときもあれば、1~2か月かかることもあります。ほんとにいろいろ。ふと思い浮かんで、いつか使いたいなとあたためてるフレーズも。30半ばになって振り返ると、学生時代は今より断然ストレートに感情を吐き出してました。敏感な時期だし、言いたいこと尽くしで。曲を作って、歌って、自分の心を発散してましたね。

───へえ〜。音楽が自己表現の手段だったんですね。

けんじゅん 言いたいことがありすぎて、ちょっと重かったかな(笑)。出し尽くした今は、同じオリジナルでも軽くなった気がします。

───学生時代はどんな活動を?

けんじゅん 高校のときは文化祭に出たり、大学時代は主に神戸のライブハウスやストリートで歌ったり。とにかく音楽に没頭しました。音と体で自分を表現する、それがすごく楽しかったんです。


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はじめて買ったCDが「FIELD OF VIEW」の『君がいたから』というけんじゅんさん。ドラマ「輝く季節(とき)の中で」(1995年)の主題歌になっていましたね。「当時ぼく、ネガティブだったんです。思春期だし、やっぱり悩みもあって。そんなとき、この曲の前向きな歌詞が響いて。元気をもらいましたね」と振り返ります。


一度はプロを目指した学生時代、その経験を生かし音楽好きが集まれる場を提供

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───お話を聞いてると、音楽が好きな気持ちが伝わってきます。そこまで好きなら、やっぱりプロを目指したことも?

けんじゅん 当時はプロになりたいと思ってましたね。CDも出したし、いろんなライブハウスで演奏してきたから、ありがたいことにファンもついてくれてて。でも、最終的にはあきらめて地元に戻ってきました。

───そうなんですね。けんじゅんさんのストレートな思いに共感する人も多かったんでしょうね。地元に戻ってからは?

けんじゅん それが、就職したもののサラリーマンは自分の性に合わず(笑)。音楽に関われる仕事をやりたいと思って、27歳のときにライブハウスを立ち上げたんです。

───それが加東市の「Live&Bar fuzzy(ファジー)」ですね。ご自身でライブハウスをつくるなんて、大変じゃなかったですか?

けんじゅん 大変でしたね。でも、これまでライブハウスをいくつもまわってきた経験と、音楽が好きっていう気持ちがある自分だからこそ、できることなのかなって。プロの道には進まなかったけど、自分と同じように音楽が好きな人が気軽に集まれる場を提供したいと思ったんです。オープンして7年経ちますが、年齢性別問わずいろんな人が利用してくれていて。みなさんが楽しんで演奏してるのを見ると、やっぱりうれしいですね。

───うんうん。ライブハウスで演奏する側から、演奏の場を提供する側に。ライブハウスって神戸には多いかもしれないけど、北播地域ではあまり聞いたことがない気がします。加東市周辺のプレイヤーにとって、「fuzzy」はきっと貴重な存在なんでしょうね。


生活に溶け込んでいる音楽

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───音楽に没頭していたという学生時代ですが、そのころと現在で変わったことってありますか?

けんじゅん そうですね。聴く曲も活動のしかたも変わりましたね。若いころはやっぱりパンクとかメロコアとか聴いてましたが、今はゆったりめの曲を好んで聴きます。20代前半まではガンガン歌ってたけど、今はサポート役として弾くことが多いかな。結婚して生活も変わりましたし。でも、誘われたらソロでもやりますよ。

───なるほど、だんだんと落ち着いてきた感じですね。最近は曲作りは?

けんじゅん ここ半年ほどは作ってないので、また再開したいなとは思ってます。最近はフェスにハマってるんですが、2歳の子どもがいるので、家族でゆったりと過ごせるところに行ってます。3月は神戸、5月には岐阜に行ってきました。

───フェスですか、いいですねぇ。2歳のお子さんがいらっしゃるんですね。

けんじゅん そうなんです。子どもには家でぼくが弾いてる姿やライブを見せたりするんで、興味を持ってくれたらうれしいなとは思いますね。

───いつか共演できたらステキですね。では最後に…けんじゅんさんにとって音楽とは?これは、みなさんにお聞きしようと思ってる質問なのですが。

けんじゅん ぼくにとって音楽は遊び道具ですね(笑)。特別なものじゃなくて、もう生活の一部というか。たいしたものじゃない、でも好きなこと。

───遊び道具!そう言い切れちゃうのがスゴイ。


インタビューを終えて

オリジナルソングで感情を表現したり、自分でライブハウスをつくったり。一見クールそうに見えて、実は情熱を秘めているけんじゅんさん。お話を聞けば聞くほど、”表現者”なんだなあと感じました。10代からずっと音楽活動を続けてきたけんじゅんさんにとって、遊び道具と言えるほど、音楽が生活の中に自然に溶け込んでいるんですね。プレイヤーとしてもライブハウスのオーナーとしても、ますます活躍されることを期待します。


●けんじゅんさんの情報はこちら
Facebook
https://www.facebook.com/kenjunatfuzzy/
ライブダイジェスト動画
自然体の声とアコギの音が耳になじむ演奏をどうぞ。
youtu.be


〇次回の更新は6月25日(火)
四十路のおっさんユニット「Nonacode(ノナコード)」をご紹介します!お楽しみに☆


〈取材・文/中兵庫音楽人発信委員会&ライター あんこ〉


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