音を楽しもう◎中兵庫の音楽人紹介

兵庫県の真ん中から、音楽人の情報を発信します。

自分たちのカラーはこれから作ってゆく、新進気鋭の高校生バンド◎S!phon(サイフォン)

こんにちは。中兵庫音楽人発信委員会&ライターのあんこです。

蒸し暑い日が続いていますが、みなさん、いかがお過ごしでしょうか?今回は、そんな暑さも吹き飛ばす勢いのある高校生4人組バンド「S!phon(サイフォン)」をご紹介します。前回はおっさんの青春をピックアップしましたが、彼らはまさに今が人生の青春時代。10代後半の多感な今だからこそ思うこと、感じるものがあると思います。今年6月で結成2周年を迎えた彼らの、音楽や仲間への思いを聞いてみました。

さいころからずっと一緒の4人組「S!phon」

f:id:eclaires:20190602112659j:plain
 
──取材というとなんだか堅苦しいですが、ざっくばらんに話をしてもらえたらなと思います。「S!phon」は高校生4人組のバンドということですが、まずはメンバー紹介をお願いします。

Ryu ギターのJo、ベースのRicky、ドラムのぐっち、そしてぼく、ボーカルでリーダーのRyuです。

──みなさん、高校の同級生なんですか?

Ryu はい。高3で、みんな同じ西脇市内の高校に通ってます。

──バンド結成はいつ?そのきっかけも教えてください。

Ryu 結成は高校1年の6月でした。ぐっちはもともとドラムを、Joは趣味でギターをしていて、ぼくは歌うことが好きだったので、バンドを組もうという話になったんです。ベースがいなかったので、ちょうどベースがしたかったRickyに入ってもらいました。

──高1の6月に結成して、今3年生ということは、ちょうどこの6月で2周年ですね。ぐっちくん、Joくんは以前からそれぞれドラム、ギターをしていたということですが、どれくらい続けてるんですか?

ぐっち 小学校高学年のときにオーケストラ部があって、そこでドラムをさせてもらってたんです。中学時代はまったく活動してませんでしたが、高校でまたこうやってドラムを叩けることになりました。

──小学校でオーケストラ部があったんですね。オーケストラとバンドでは雰囲気も演奏する曲も違うと思いますが、今バンドをやっていてどうですか?

ぐっち オケは大人数だから、テンポがずれたり自分のちょっとしたミスが周りに大きく影響するので、あわせるのが大変でした。でも、バンドだと4人だから、カバーし合って演奏できるし、楽しいですね。ぼくたち4人は保育所のころからずっと一緒だから、なんでも気軽に話せるし、コミュニケーションがとれる。それぞれが自分の意見を言える関係だからこそ、演奏しやすいんだと思います。

──へぇー!みんな小さい頃からの幼なじみなんですね。保育所から、小・中・高とずっと一緒ってことですよね?気心の知れた仲なんですね。ぐっちくん、ドラムセットは持ってるの?

ぐっち ドラムはないんですが、カホンを持ってます。オケでカホンも叩いてたから、バンドでは演奏する曲によって使いわけてます。


f:id:eclaires:20190614140850j:plain
ぐっちくん愛用のカホン。抜群のリズム感で演奏をリードしてくれるそう。


──Joくんはギター歴は?

Jo ぼくは小5か小6のときにギターをはじめました。当時は難しくてあまり練習しなかったんですが、中3になってまた触りはじめて。そのときは「S!phon」とは別のグループで弾いてました。

──小学生のときにギターをしたいなと思ったきっかけってなんだったんですか?

Jo 実はぼくも、ぐっちと同じオーケストラに入っていて、チューバを演奏してたんです。音楽には興味があったし、ギターって単純にかっこいいなと思って、やってみたくて。

──ぐっちくんもJoくんも、小学時代のオーケストラが音楽への入り口だったんですね。Joくん、今日はギターを持って来てくれてると聞きましたが、小学のときからずっと同じギターを使ってるの?

Jo それも使ってるんですが、最近新しく買ったんです。P.R.Sっていうんですけど…。(と言って、おもむろにギターを出してくれました)


f:id:eclaires:20190608220332j:plain
最近手に入れたというP.R.S(ポール・リード・スミス)SEカスタム。


──わぁ、ツヤツヤですね!

Jo ツヤツヤです(笑)

──Rickyくんはバンドを組むときにベースをはじめたとのことですが、憧れのプレイヤーとか、このベースがほしかったとかありますか?

Ricky ミュージックマン・スティングレイっていうベースです。ベースをやりたいなと思っていたときに見ていたYouTubeの人と、自分の好きなレッチリ(=Red Hot Chili Peppers)のベーシストがこのベースを使ってたので、それで。


f:id:eclaires:20190608215252j:plain
Rickyくんのミュージックマン・スティングレイ。


Ryu Rickyがベース初心者ってことで、最初は3人でカバーしてたんですが、すごく練習して上達したんですよ。

──そうなんですか。Rickyくん、練習めっちゃがんばったんですね。

Ricky そうですね、ずっと弾きまくってました(笑)

──Ryuくんは歌うことが好きということですが、何か歌の経験はありました?

Ryu 歌うことは好きですが、やっぱり好きだけじゃダメだし、聴かせる歌を歌いたいと思って、高1の冬からボイストレーニングに通ってます。

──ボイトレに通ってるんですね。聴かせる歌を歌うために…とは本格的ですね。それにしても、4人とも希望のパートがかぶらず、それぞれの得意分野を生かしてバンド活動ができるなんて、なかなか貴重なことですね。そんな4人のバンド「S!phon」ですが、バンド名の由来はなんですか?

Ricky 「siphon(サイフォン)」は、ギリシャ語で“上に上がっていく”という意味なんです。上を目指してがんばるという思いをこめて、この名前をつけました。「siphon」の「i」をひっくり返して、「!」にしたところもポイントです。

──“上を目指してがんばる”、かっこいいじゃないですか。若いみなさんにぴったりの名前ですね。でも、ギリシャ語の意味、よく知ってたね。

Ricky ゲームが好きなんですが、ゲームにその言葉が出てきて印象に残ってたので。

──なるほど、ゲームも役に立つね(笑)


いろんな曲に挑戦したい、その先に自分たちのカラーを作り出してゆく

f:id:eclaires:20190608215344j:plain
左から、ドラムのぐっちくん、ベースのRickyくん、ギターのJoくん、ボーカルのRyuくん


──バンドの練習はいつもどこでやってるんですか?

Ryu 練習場所はだいたい、西脇スタジオ(エクレアーズの拠点)や市内のコミュニティセンターですね。集まったときにあわせられるように、それぞれ家で練習してます。

──近くにいい場所があるんですね。演奏する曲はどうやって決めてるの?

Ryu 曲は、ポップス、ロックを中心にカバーをやってるんですが、みんなで決めるというより、一人ひとりが自分の練習曲を持ち寄って、みんなであわせるという感じです。

──4人いたら意見がわかれることってありそうですが?

Ryu 全然そんなことはないですね。ね?

一同 うん、ないよね。

──へぇ~そうなんだ。じゃあ、みんな好みはだいたい似てるんですね。

Ryu そうですね。それに、候補曲をたくさん決めてるので、やりたい曲が難しいときはほかの曲を選んだりして、みんなであわせます。そのために、それぞれが曲をピックアップしてるんです。

──なるほど、そういう選曲のしかたもアリですね。ポップス、ロックのカバー中心とのことですが、「S!phon」の持ち曲で代表的な曲は?

Ryu MONGOL800の『小さな恋のうた』とONE OK ROCKの『欲望に満ちた青年団』、それに、米津玄師さんの『アイネクライネ』です。

──あ、30代の私も知ってる曲でなんかうれしい(笑)。『小さな恋のうた』はいろんなアーティストがカバーしてますよね。こんなふうになりたいとか、目指してるアーティストはいるの?

Ryu 好きなアーティストは個々にはいますが、チームとしては、いろんな歌手の曲を広く浅く練習して、ジャンルをしぼっていきながら、最終的には自分たちのカラーを出していきたいなと思ってます。今はその途中ですね。

──うんうん。地道に、確実に、練習を積み重ねて自分たちの方向性を決めてゆく、ということですね。しっかりしてるなぁ。人前での演奏はもう経験しましたか?

Ryu イベント出演は数回あります。はじめて出たのが去年の8月で、西脇市内の町の夏祭りでした。地域の方に声をかけてもらって、『小さな恋のうた』と『欲望に満ちた青年団』の2曲を演奏しました。去年11月には、同じく市内の小学校の体育館で開催されたイベントと、ほかにも小学生対象のイベントにバンド枠で出演しましたね。

──初舞台は地域の夏祭りだったんですね。声をかけてくれる人がいるってありがたいね。でも、ステージに立つって緊張しませんか?失敗したらどうしようとか。

Ryu 緊張します(笑)。だから、演奏前はいつも円陣を組んで気合いを入れてます。もちろん失敗もするけど、引きずらないようにしてますね。反省して、次につなげるように。でも何より、演奏中は思いっきり楽しむようにしてます。自分たちが楽しむことで、聴いてくれる人も楽しませることができると思うから。

──自分たちが楽しむ、それがいちばんだと思います。いつも聴きに来てくれる人はいるの?友達とか。

Ryu はい、同級生が。友達が聴きに来てくれるってやっぱりうれしいですね。これから持ち曲を増やして、ファンも増やしていけたらなと思います。今はイベント出演がひとつの目標ですね。この夏もまた出演が決まっているので、それに向けて練習中です。

──気合いが入りますね。まずは自分たちの地元・西脇市内のイベントで場数を踏んで、たくさんの人に「S!phon」を知ってもらえたらいいですね。


対バン、路上ライブ…つきない夢、卒業してもこのメンバーで

f:id:eclaires:20190608220604j:plain 

──みんな同じ高校の同級生とのことなので、ちょっと学校の話も聞いてもいいかな。学校でもいつも一緒にいるんですか?

Ryu 学科がいくつかあるんですが、ぼくとJo、Rickyとぐっちが同じで、2・2にわかれてるので、いつも一緒ではないんです。でも、選択授業で4人とも音楽をとっているので、クラスが違っても交流はありますね。いろんな楽器を演奏したり、音感を鍛えたりと、楽しいです。

──音楽の授業を選択するところは、やっぱりみんな音楽好きで気が合いますね。

Ryu そうですね。それに、部活は、Jo以外の3人は同じ放送部なんです。

──あら、Joくんだけ部活が違うんですね?

Jo ぼくだけサッカー部なんです。練習で疲れたりしてギターの練習に打ち込めないときもあったんですが、もう引退したので、これからギターの練習に専念したいですね。

──そっか、Joくんはサッカーやってたんですね。運動部だったら練習でへとへとになるもんね。放送部の3人はどんな活動をしてるんですか?

Ryu 音響機材を触らせてもらえるんです。体育祭や文化祭など学校行事の放送もします。

──音響は演奏にもなくてはならないものだし、部活で習ったことがバンド活動に生かせそうですね。文化祭っていうキーワードが出てきたんですが、出る予定は?

Ryu 文化祭は11月にあるんですが、バンド出演は禁止になってるんです。

──えっ、そうなの⁉それは残念!

Ricky でも出たいよね。

Ryu うん。せっかくの機会なので、ぼくらのやりたいって気持ちを先生に言いに行こうと思ってます。 

──おおっ、すごい、前向き!せっかくの高校最後の文化祭、みんなで舞台に立てるといいですね。3年生で卒業という言葉もチラついているかと思いますが、卒業後もバンドは続けていきますか?

Ryu もちろん、このメンバーで続けたいです。

──これからの目標や夢はありますか?

Ryu いちばんやりたいことは、対バンですね。ぼくたちが主催して、いろんなバンドを集めて共演してみたいです。それに、技術が上がれば難しい曲にも挑戦したいし、いつかはオリジナルもやってみたい。路上ライブもやりたいですね。


f:id:eclaires:20190608220821j:plain

Ricky 最終的な夢はメジャーデビューです(笑)

Ryu そう、まずはMステに出るところからですね(笑)

──いいねいいね。デビューして何年後かにこの取材記事を振り返って、こんなころもあったな~って懐かしむときがくるのかな(笑)


それぞれの思いを胸に、チームとなって奏でる一体感

f:id:eclaires:20190608220753j:plain

──数年後にはメジャーデビューを控えている「S!phon」ですが(笑)、自分たちのここを聴いてほしい!っていうところはありますか?

Ryu 楽器隊の音が一体になっているところです。ぼくはボーカルだからよくわかるんですが、ギター、ベース、ドラムの音が合っていて歌いやすいんです。

──うんうん。という話ですが、楽器隊のみなさん、演奏で心がけてることってありますか?


f:id:eclaires:20190614155257j:plain

ぐっち お互いあわせるように心がけてますね。

Ricky それと、やっぱり、ボーカルのハイトーンボイスですね。リーダーとしてぐいぐい引っ張っていってくれますし。

──ボイトレで鍛えたハイトーンボイスですね。ぐっちくんがはじめに話してくれたように、みんな昔からの仲でお互いをよく知っているからこそ、一体感のある演奏ができるんでしょうね。そこにRyuくんのハイトーンボイスがあわさって、「S!phon」の音になる…そんな仲間がいるって、すごくうらやましい。では、最後に。みなさんにとって、音楽ってどんな存在ですか?

Ryu ぼくにとって音楽は友だちづくりです。ボイトレの先生が主催しているイベントでいろんな人とセッションする機会があって、音楽を通してつながれた人もいます。

──友だちづくりですか、いいですね。音楽を通して出会えた人とのつながりは大切にしたいね。Joくんはどうですか?

Jo ぼくも同じですが、それプラス、自分の思いを伝えられることが魅力ですね。普段は表現できない気持ちを、ギターでなら思いきり表現できるんです。

Ricky ぼくもJoと似ていて、普段人前に出るのは苦手で感情を表に出すことって少ないんですが、音楽をやってると堂々と人の前で自分の感情を出せますね。

──そっか~。思いきり楽器を演奏することで、そこに思いをぶつけられるのかな。でも、普段は感情を出せてないの?(笑)

Ricky 出してるけど、出しきれてないんです(笑)

──そうなんだ(笑)。ぐっちくんは?

ぐっち 自分にとって音楽ってなにか、今はまだこれというものがないので、みんなと活動していく中で自分なりの答えを出していきたいです。

──はぁ~、なんだかかっこいいですね。

Ryu ぐっちはやる気なさそうに見えて、実は情熱を秘めてるよね。

Jo スティック持ったら雰囲気変わるしね(笑)

──やっぱりみんなお互いのことをよく見てますね。一人ひとりが音楽やメンバーへの思いを持ちながら、4人がひとつになって「S!phon」は成り立ってるんだなぁと感じます。あ、もうひとつ最後に。自分たちをひとことで言うと?


f:id:eclaires:20190608220530j:plain

一同 元気、やる気、たまに弱気!(笑)

──うんうん、弱気もあってよし(笑)。高校生らしいコメント、ありがとうございます!


インタビューを終えて

私が投げる数々の質問に真剣に答えてくれた「S!phon」の4人。地道に練習を重ねる中で自分たちのカラーを出してゆこうとする姿勢に感心させられました。でもやっぱり、失敗しても引きずらない、文化祭でバンド演奏をしたいなど、前向きでがむしゃらなところは若者ならではで、30代の私の目にはとてもまぶしく映りました。幼い頃からずっと一緒で、みんな音楽が好きで、バンドを結成できる。あたりまえのように一緒にいるかもしれないけれど、それってとても貴重なことなんじゃないかなと思います。仲間との絆を深めながら、これからいろんな経験をして、“音楽人”として西脇から全国へと羽ばたいてほしいですね。


●S!phonの情報はこちら
公式インスタグラム
S!phonさん(@siphon_official) • Instagram写真と動画www.instagram.com
YouTubeチャンネル
https://www.youtube.com/channel/UCbce_XUpBc12QZPeJBW0_mQ
これからどんどん動画をアップしていく予定!


〇次回の更新は8月25日(日)
癒やしのウィスパーボイス「Chisato」さんをご紹介します!お楽しみに☆


〈取材・文/中兵庫音楽人発信委員会&ライター あんこ〉


こちらもチェックしてね!
■中兵庫音楽人発信委員会HP
https://rpmb09143.wixsite.com/nakahyougo
オリジナルグッズ販売中!

■エクレアーズ軽音楽サークル LINE@
https://line.me/R/ti/p/%40xhm7961k